絵本作家風木一人の日記

絵本作家風木一人の日記です。

重いテーマを扱えば高い精神性が獲得できるわけではない

文芸坐で「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」。ともにクリント・イーストウッド監督作品。
戦争の悲惨さも集団となった人間の醜さも、これでもかとばかり描かれている。目を背けたくなるほどに。だが、前作「ミリオンダラー・ベイビー」同様、ぼくは満足できない。重厚で誠実だがどこか空虚に感じてしまう。この人の切り口はぼくをはっとさせないのだ。
作品が悪いわけではないのかもしれない。ただ想定された観客像にぼくが合致していないだけで。
戦争に行かなくても知ってますよ。人間がグロい肉の塊になることくらい。想像力ってものがありますからね。