絵本作家風木一人の日記

絵本作家風木一人の日記です。

スキップして♪

昼間ベランダに出て、あっ、と思った。見慣れた景色がいつもと違った。
美しいのだ。昨日の雨がほこりを洗い落としたか、空気が澄み渡って町が空が輝いて見える。
近所のマンションの屋上に物干し場があって、晴れた日には誰かが洗濯物を干したり取り込んだりしているのだが、今日はなんだか嬉しいものを見てしまった。
ドアを開けて出てきた人、洗濯物を取り込みに来たいい大人が、スキップしていたのである!
ああ、本当にそんな、わけもなく気が浮かれるような空気と光だった。
表情のわかる距離ではないのだけれど、その人は微笑んでいたに違いないし、ぼくの口元もやはり緩々にゆるんでしまったのである。