絵本作家風木一人の日記

絵本作家風木一人の日記です。

「おおきなポケット」

また残念なニュース。福音館書店の月刊誌「おおきなポケット」が来年3月で休刊するという。

十年前、児童書の世界で初めて仕事らしい仕事をしたのがこの雑誌だった。幼児向け絵本雑誌「こどものとも」の編集部に絵本の売り込みに行ったところ、編集長のSさんが「あなたの作品は小学生向けかもしれませんね」と言って「おおきなポケット」の編集長Tさんを紹介してくれたのだ。

いくつかのお話を見てもらったら、そのうち一つを選び「この感じで一年間連載してみませんか」と言われた。驚いた。と同時にすごく嬉しかった。
連載するつもりで書いたものでなかったから、「その感じで」毎月書くのは大変だったけれど、そのぶん鍛えられたし、今となってはいい思い出である。

Tさんはだいぶ前に退職された。月刊絵本形式の福音館の雑誌の中で「おおきなポケット」は異色の存在だった。他誌よりも思いきった実験ができる誌風があったようにも思う。
おおきなポケットに詰まっていたたくさんの面白いことが、これからも何らかの形で広まっていきますように。