絵本作家風木一人の日記

絵本作家風木一人の日記です。

『わたしドーナツこ』

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去年、毎日新聞の「小さなおはなし」で絵を描いていただいた井上コトリさんが、初めての絵本を出版されました。
これがまた、デビュー作とは思えない(いやデビュー作だからこそ?)大胆な絵とおはなしで……。

『わたしドーナツこ』 作・井上コトリ ひさかたチャイルド刊

ドーナツ屋さんの一人娘「どう なつこ」は学校に行くのが嫌でしかたありません。だって、からかわれるに決まっているもの。
それでも勇気を出して行ってみたら……やっぱりからかわれます(笑)
でももう一人変わった名前の子「あんどう なつ」が現われて話は意外な方向へ。

あとがきにステキなことが書いてあります。ドーナツが好きな井上さんは「ドーナツは、あの穴がかわいい」と思っているけれど、あるときふとドーナツ自身の気持ちを考えたそうです。「身体の真ん中に、ポカンと穴が空いているなんて、すごく不安で心細いのではないだろうか?」

読むと、この感性から生まれてきた絵本であることがよくわかります。笑いがあって涙があって愛がある。すばらしい。