絵本作家風木一人の日記

絵本作家風木一人の日記です。

トイレ幽閉妄想

一人暮らしの人はトイレに入っても鍵をかけないのが普通だと思うがどうだろう? だって誰も入ってくるはずがないのだから。
以前の部屋のトイレには窓があったが、今の部屋のトイレは全く外に面していない。非常に密閉度が高い。もしここで鍵をかけてそれが壊れたらどうなるのか? 真っ白い箱に完全に閉じ込められてしまう。壁はもちろんドアも相当に丈夫そうで、素手で叩き破る自信はとてもない。
水はあるから一週間くらいは生き延びられるだろうか。引越したばかりだし訪ねてくる人はほとんどいない。いても留守だと思うだけ、トイレに幽閉されているなんて誰も思わない。助けは来ない。だんだん衰弱していつか空しくなるわけだ。
ああ怖い。ぶるぶる。ぼくは絶対に鍵はかけないぞ。
いや待て。鍵をかけなくても何かの故障でドアが開かなくなったら? そういう可能性だってゼロとは言えまい。
ああやっぱりだんだん衰弱していつか空しくなる運命なのか。ぶるぶる。
ドアは5センチほど開けておくことにしよう。