絵本作家風木一人の日記

絵本作家風木一人の日記です。

箱の中の山2

先月日記に書いた「箱の中の山」が収録された「佐藤さとるファンタジー全集12」を借りて読む。
小学生のとき以来だし断片的にしか覚えていなかったのに、読み出すとどんどん思い出してきた。読む前に次の行がわかる感じ。細かな言い回しまで、そうそう、そうだったと甦ってくる。よい作品というのは心の奥に残るものだ。
ただ面白いことに、覚えているつもりだったラストがちょっと違っていた。主人公がテレビのニュースを見ていてある事実を知る、と思っていたのだが、実際にはそういう場面はなかった。その事実は読者に知らされるだけで主人公には知らされないのだ。
覚えていないようで覚えているし、覚えているようで覚えていない、記憶は全く不思議なものだ。