絵本作家風木一人の日記

絵本作家風木一人の日記です。

今年もあとわずか

鬼を笑い死にさせるべく再来年の絵本の打合せを三鷹台で。とぼけた味の笑える絵本になるといいな。
ビーラビッツに寄って『わたし ねこ』(岩瀬成子・作 佐野洋子・絵)と『オオカミのゆめ ぼくのゆめ』(三田村信行・作 佐々木マキ・絵)を購入。

さて、これからギャラリーエフでこしだミカさんの個展を観て、ギャラリーゑいじうのスズキコージさんの個展に回ろう、と思いながら総武線に乗っていると突然コージさんが現われて驚く。「これからゑいじうですか?」と聞くと「いや今日はピンポイントとビリケンだよ」とのお返事で、ちょっとがっかり。

こしださんの個展は新刊『太陽とかわず』(小川未明・作 こしだミカ・絵 架空社)の原画がメイン。前作の『アリとさんぽ』は絵本としては珍しく絵が先にあってあとから文章をつけたものだったためどうしてもつながりに不満があったけれど、今回はめくっていく読者の視点が意識されて読みやすくなっている。架空社の絵本シリーズのおかげでいくつかの未明作品に触れる機会を得たが、どれも最近の童話とは全く異質なところが面白い。

コージさんの個展はいつもながらのテンコ盛り、大小さまざまな箱に描いた絵もよかったし、絵本『ガッタンゴットン』の原画もよかった。主人公のトナカイ(?)がトロッコ列車のようなもので進んでいく、それだけといえばそれだけの話。うねうねと山を縫う線路、変わっていく景色、増えていく仲間たち、旅の楽しさがそこにある。
毎年ゑいじうのスズキコージ展を観ると、今年もあとわずかだなあと思う。